ウラギンシジミ |
秋の斑鳩(いかるが)は大好きな風景だ。
刈り入れの終わった田には稲藁が積まれ、そばでコスモス
の花が風に揺れている。
白壁の小道をたどると、柿が赤い実をつけ、その向こうに
五重塔の九輪が見える。ふと見上げると、青い空がいっぱ
いに広がっている。
典型的な斑鳩の秋だ。
柿が熟し始める頃、この蝶は活発に飛んでいる。
夕日に白銀色の翅をきらめかせながら飛ぶ様はたとえようの
ない美しさだ。
我が家から時折散歩する道に古い家があり、カシの木が茂っ
ている。そばには絵に描いたように柿が実っているのだが、こ
こにはウラギンシジミが何頭も舞っていて、楽しい散歩コース
だ。
我が家のベランダにフジが巻きついているが、そのフジを目
当てなのか、こちらも毎年ウラギンシジミがやって来てくれる。
裏面は白銀色だが、羽を開くとオスは赤い斑紋が美しい。
驚かさないようにじっと羽を開いてくれるのを待つのもはら
はらである。
どこで越冬するのか、春になるとこの蝶はやわらかな陽射しを
待ちわびるように、どこからか姿を現す。