カラフトセセリ |
季刊誌「ゆずりは」に発見記が載っている。
最初の採集者は大阪・池田市在住の長沼二郎さんである。大正
11年生まれというから当時77歳ということになる。
長沼さんは毎年北海道の観光・採集旅行を奥さんと楽しみにされ
ていた。この年も7月12日に伊丹空港を発ち北海道に向かった。
しかし、あいにく雨が続き成果はいまひとつだったという。
最後の日、旭川空港に向かう途中、滝上町を通りかかった。
菜の花がきれいに咲いており、奥さんが「写真でも撮っておいたら」
というので車を止めた。
カメラを構えるとファインダーの中に小さな黄色いセセリが飛んで
いるのが見えた。車に戻って捕虫網を取り出し31頭を採集した。
その小さな蝶が大発見につながる。
カラフトセセリはヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカなどに広く生息
している。
日本には多分牧草に紛れて移入され繁殖したのではないかと推
測されている。DNAの検査から北米のものに近いことが確認され
ている。
こういう僥倖から新発見がなされることもあるのだ。