ヒメギフチョウ |
まだ、真っ白な雪をかぶり、堂々とした山容がまぶしいほどだった。
右手に燕岳、左に蝶が岳、北アルプスの山並みがそろっている。
駅前にAさんが待っていてくれた。
3日前、「ヒメギフチョウが出始めましたよ」というご連絡をくれ、きょう
は案内をかって出てくれたのだ。
沢沿いの駐車場に車を止め、そこから20分ほど山道を歩くと、そこ
はヒメギフチョウの発生地だった。斜面にカタクリが咲き乱れている。
しばらく待っていると、ヒメギフチョウがやって来て、カタクリの花の蜜
を吸い出した。
自然界の中でこんなにも美しい春の情景はあるだろうか。
しばらく見ていると、一頭のヒメギフチョウの姿が目に入った。
動きがどうもおかしい。
カタクリの花にしがみついている姿を観察すると、右の翅が縮れて
固まっていた。蛹から羽化する時、何かの障害物があって翅が伸び
切らなかったのだろうか。これでは飛ぶことは出来ない。
自然の厳しさを垣間見た思いがした。
午後から別の場所に移動した。
お寺の境内が発生地になっている。
隣接した民家の庭先のシバザクラにヒメギフチョウがやって来るの
だった。
Aさんのお蔭で楽しい一日を過ごすことが出来たのだった。