小津安二郎の生誕120年とかでBSなどで「東京
物語」「晩春」「秋刀魚の味」が放映されていた。
「東京物語」は以前観たことがあるがどれも胸打
つ佳品だった。
「東京物語」は尾道に住む老夫婦が東京にいる長男
、長女を訪ねる物語。長男は町医者、長女は美容院
を経営していて両親を表面的には歓迎するが内心は
複雑で居心地はあまり良くない。親身になってくれ
たのは戦死した次男の嫁だけだった。「熱海にでも
行ってゆっくりしたら」と長女から言われ体よく追
い出され、その上宿は騒がしく一睡も出来なかった。
老夫婦は尾道に戻ることを決める。
この旅で体調を崩した妻は帰宅間もなく亡くなって
しまう。長男、長女は駆けつけて来るが葬儀が終わ
ると形見を要求してさっさと帰ってしまう。最後ま
で心を配るのは次男の嫁だった。妻を亡くした老父
が「一人になると急に日が長うなりますわ」とつぶ
やくのが胸に沁みた。親と子、家族、生と死、老い
というものが淡々と描かれていた。
昨日、今日と小春日の暖かさになった。隣町の公園
に今年最後の観察に出かけた。公園に着くとすぐき
れいなムラサキシジミが出迎えてくれた。これは幸
先がいいと思ったがその後1時間近く動きがなかった。
10時半を過ぎるとムラサキツバメが飛んで来て赤
いサザンカで吸蜜を始めた。やって来たのはぼろぼ
ろに傷んだムラサキツバメのメスだった。「東京物
語」をちょっと思い出して「頑張れよ」と声をかけ
たくなった。ムラサキ兄弟は今日も少なかった。そ
れでも何頭かがサザンカに来てくれてうれしかった。
今年最後の観察を楽しんだ。お正月はのんびり過ご
そうと思う。皆さまお世話になりました。来年もよ
ろしくご指導下さい。
サザンカとムラサキツバメ
ボロボロになったムラサキツバメ♀
ムラサキツバメ♂
ムラサキシジミ飛ぶムラサキツバメ♂飛ぶムラサキツバメ♀