キタキチョウ |
った。
皇太子さまと雅子さまも登った唐松尾根をあえぎあ
えぎ1時間。やっと稜線にたどり着く。
下界の暑さとは打って変わって涼しい風が吹き渡
っていく。とても気持ちが良い。
でも、やっとたどり着いた雷岩から大菩薩峠に至る
稜線にはいるはずのキベリタテハはいなかった。
キベリだけではない。キアゲハがわずかに飛んでい
るだけで、蝶の姿がほとんどないのだった。
そういえば、この稜線は広大な草原が広がっている
が花らしい花が咲いていない。
わずかにワレモコウが風に揺れているのと、ホタル
ブクロが咲いているぐらいだ。
吹き抜ける風の中をキベリタテハが一頭飛んで行く
のが見えた。
「あっ、キベリだ。キベリ…」
記録的な猛暑で蝶も花も少ないのだろうか。
この日、見かけた蝶はキアゲハ、クジャクチョウ、
アサギマダラ、キタキチョウ、このキベリだけだった。
それでもアザミの花に休むキタキチョウを見つけ、ほっと
安らぐ気持ちで下山した。