クロツバメシジミ |
今回の公演は「アイーダ」と「ドン・カルロ」だった。
ちょっと高かったが、幸い二つとも観る機会に恵まれた。
歌手のレベルはまずまずだったが、「アイーダ」の豪華絢爛な
舞台美術、「ドン・カルロ」のスタイリッシュで斬新な舞台に圧倒
された。
「アイーダ」はスエズ運河の開通を祝って1871年、エジプト・カ
イロ劇場で初演された。
エジプトを旅行した時、砂漠の中の数少ない木々の名前を通
訳に尋ねたことがある。
「この木は何て言う名前?」
「木です」
「えっ、じゃあこれは?」
「木」
通訳はエジプトには木には名前はないと言い張った。「木は木で
しょ。どうして?」と不思議そうだった。
クロツバメシジミは河川の堤防や崖地などに生育しているツメ
レンゲなどを食草にしている。河川の改修などで最近どこでも
姿を消している蝶のひとつだ。
エジプトにはどんな蝶がいるのか。
季節は2月だったが、気温は30度を越していた。
砂漠にはスカラベ(ふんころがし)がいるだけで、蝶一匹飛んで
いなかった。
秋には秋。抜けるような青空の下、クロツバメシジミと戯れる
ことが出来る幸せが日本にはあるのだった。