シロミスジ |
81.1メートルの瞬間最大風速を記録した。民家200戸が全半壊し、
電柱40本が倒れるという被害をもたらした。
2週間後にぼくらは島を訪れたのだが被害の爪痕はまだ生々しく、島
の東端にある風力発電の風車の羽根が無残に折れていたり、倒壊し
た電柱、吹き飛んだ赤い屋根瓦の散乱などが見られた。
島に渡る時「島の食堂はやっていませんから」と言われた。
この暴風雨ではひとたまりもなかったのだろう。どこの林道を回っても
蝶などまったくいなかった。
風のない陽だまりのセンダングサにわずかにナミエシロチョウ、クロボ
シセセリ、それに渡りの途中なのかアサギマダラが数頭いるくらいだっ
た。
そんな状況だったのでぼくらがこの島にしか生息しないシロミスジと出
会えたのは奇跡としか言いようがない。それもどういう具合か、1頭と
対面した途端、もう1頭が目の前に現れ、あっという間にカップルが成
立したのだ。その間僅かに1,2分の出来事だった。
白昼夢のように思え、夢中でシャッターを切ったのだった。