ツマグロヒョウモン |
たちがいる。たしか2、300円だったと思うが、それを買って
手向けるのである。
終戦間際の昭和20年3月、那覇の女子高生たちは負傷した兵隊
たちであふれる病院に動員された。必死の思いで傷の手当てをし、
兵隊を励ます。死んでいく兵隊さんの死体を運んだりもした。
米軍が沖縄に上陸、最初は兵隊たちと行動を共にしていた彼女た
ちはやがてちりじりになり、この壕で自決したり、米軍の攻撃で
命を散らして行ったのだった。
かっと照りつける南国の太陽の下、壕をのぞき込むと深い暗闇が
広がる。自然と手を合わせる気持ちになってくる。
目を上げると、ツマグロヒョウモンがひらり、ひらりと舞ってい
た。それがなぜか亡くなった女子高生のように見えて、胸が熱く
なった。
オスとメスでは斑紋がかなりちがう。
南国の蝶のイメージが強いが、このところ東京近辺でも珍しくな
くなった。秋が深まった頃、鎌倉を歩いていたら、この蝶と何度
も出会って、その棲息域の急拡大に驚いたのは数年前だったが
2006年9月に初めて、我が家の庭にやってきた。
それが、今では一番の普通種になってしまった。