大不作の木下沢 |
なった。
江戸の俳人、山口素堂の俳句に「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」
というのがあるではないか。そう思って大腸ガンの妻を伴って裏高尾
の木下沢に出かけた。
天気は快晴、風も心地よい。新緑は真っ盛りで、その梢からオオルリ
の美しい鳴き声が聞こえてくる。
これで蝶がいれば…。だが、木下沢はまったくと言っていいくらい蝶
の姿がなかった。サカハチチョウがいるくらいで、あとは越冬後のヒ
オドシチョウ、ウラギンシジミ、テングチョウを見かけたくらい。
気の早いウスバシロチョウが出ていないかなと思ったが、まだ少し早
いのかその姿はなかった。カラスアゲハは林道ではまったく飛んでい
なかった。
昔、この沢は蝶影が濃いことで知られていた。しかし、最近はあまり
そういう声を聞かない。それにしてもこの蝶の少なさはどうしたこと
か。あ然とするばかりだった。ネットを持ったお兄さんと2人出会っ
たが、手持無沙汰の風情だった。
久しぶりに歩いた妻はご機嫌だった。沢のキャンプ場でおにぎりを食
べ森林浴を楽しんで、疲れも見せずに体調も良くなったようだ。
蝶がいなくて不機嫌な僕とちがってニコニコとしていた。
ヒオドシチョウ
ウラギンシジミ
サカハチチョウ