ヘリグロチャバネセセリ |
せる。ちょっと残酷のようだが、これが基本である。
指で圧迫してもなかなか死なない蝶もいる。
オオムラサキなどはこどもの指では窒息させるのはまず、無理
だろう。セセリチョウの仲間もそんなところがある。
蕪村の俳句に
「うつつなき抓(つま)みごころの胡蝶哉」というのがある。
蝶ではないが、芥川龍之介には
「初秋の蝗(イナゴ)つかめば柔らかき」というイナゴのぬくもりが
伝わってくるような俳句もある。
ぼくは昆虫採集は否定しない。
こどもたちが蝶の胸を圧して、小さな死というものを実感すること
も大切だと思うからだ。
そういう積み重ねがなくて、机上で小さな命を大切にしましょう、と
叫んで、昆虫採集を罪悪視する風潮も正しいとは思わない。
だが、段々歳を取ってくると、採集より写真の方が楽しくなってくる
のも事実だ。
山道でヘリグロチャバネセセリと出会った。
この蝶とスジグロチャバネセセリはよく似ていて、なかなか見分け
がつかない。写真観察のむつかしいところでもある。
